公立高校削減案が具体化

神奈川県教育委員会は9月30日、現在142校ある県立高校の再編・統合を進め、平成39年度をめどに20~30校減らす方針を盛り込んだ「県立高校改革実施計画」の素案を発表しました。県立高校改革は28年度からの3期12年間で計画されていて、第1期の4年間で再編・統合する高校名は12月の県議会で公表されます。

平成7年度に過去最大の166校となった県立高校は、平成12年度から約10年かけて行われた前回の再編・統合で、現在の校数に至っています。県内の公立中学校の卒業者数は昭和62年度の約12万2千人をピークに減少し、昨年度は7万人でした。そして、平成39年度には6万3千人程度まで減るとみられています。

公立高校を減らす理由

神奈川県教育委員会は再編を行う理由を「少子化社会の中で、活力のある教育活動を行うために必要な生徒数の確保が基本的な目的」と説明しています。要するに、各高校にはある程度の生徒母数が必要とする考え方です。教育現場からも、「人数減少で、学校行事や部活動の活気が保てない」という声が多数寄せられているそうです。学校が「学校」らしい雰囲気を維持するにも、定員を減らすのではなく、学校を減らす方向に流れが向いてしまう理由がそこにあるようです。

さらに、学校規模が小さくなると、教員の業務負担の増加や部活動の顧問が不足するといった運営上の問題も生じるので、現在の標準規模である「1学年7学級」を上回る再編・統合を目指すことになります。

再編は先進的な改革にも着手

しかし、この素案は人口動態に鑑みた合理的かつ効率的な集約化ばかりに固執していません。同改革では、グローバルリーダーの育成を目的とし、国際的に認められている大学入学資格が取得可能な「国際バカロレア認定校」の設置を目指しています。また、その認定推進校に指定される1校を12月の県議会で公表する予定になっています。さらに、IT関連に特化した学校を、空白地帯である県央以西に設置する声もあがっています。

削減対象校の発表はこれから

今後、通学の利便性などから、県内を「横浜北東と川崎」や「県央と相模原」など5地域に分け、各域内の普通科・専門学科の配置バランス、中学生の進路希望状況などを考慮して再編統合の対象校を決定する運びとなっています。

この公立高校削減案は、今後の受験生にとって必然的に志望校の選択肢が減るので、気がかりであることは間違いないでしょう。また、保護者の中にも出身高校が消えてしまう方がいるかもしれません。少子化の波にもまれる進学事情・・・今後の対応から目が離せないようです。