特集 公立高校入試難易度の変化は?

今年は理科が容易に、国語が困難に。

下の表は、県が発表している合格者の入試平均得点を年度別に示したものです。表には、マークシート形式が導入されてからの3回分を載せています。2019年に注目すると、受検生を悩ませていた理科が一気に16点も上がっています。一方で、得点で偏りが出ていた国語が二年連続で難しさを増しています。受検直後に、予想より点が取れなかったと受検生を不安にさせた原因はこれでした。

 

国語の問題をどう難しくしたのか?

わかりやすい例で説明します。下の表は県で発表している漢字の設問とその正解率です。5問目からはマークシート形式ですので、記号選択形式です。正解率の平均で見ると、今年は全体で24%ほど下がる激変ぶりがはっきり見て取れます。「彫塑」や「緩衝」は使用機会が少ないため記憶に残りづらく、「振興」は同音異義語が多くて、区別が難しいからです。ただし、前者の分野は前年度でも「苦衷」のように中学生には聞き慣れない語が取り上げられていますので、難化はすでに始まっていたといえます。

同音異義語や同訓異字は、習った漢字であれば聞いたことがない言葉でも出題される可能性があります。つまり、入試に向けて語彙を増やす対策をより強化していかなくてはならないということです。書き取り問題があった頃は、概ね小学生での学習範囲から取り上げられていただけに、この変化はある意味受検生泣かせともとれるでしょう。

 

説明文は題材が難解に。

ここ2年の題材をみると、説明的文章では哲学的分野が取り上げられています。いまや、社会でも触れない哲学者の名が飛び出し、抽象的な言葉について読み解くことを狙われています。中学生にとって、文章の質は易しいと評価できますが、テーマに親近感が持てないことが円滑な理解を阻害している要因といえそうです。