高校進学事情2021

2021年度入試問題一考察

概ね例年どおり

2月15日(月)、県立高校の学力検査が行われました。新型コロナ感染症拡大防止の観点から出願分野や合格発表の確認方法などが変更されましたが、国難の最中ということもあって、出題傾向(一部範囲除外対象あり)や出題量については殆ど変化がありませんでした。平均競争倍率は1,17倍でした。

 

難易度維持に工夫

全体的に難易度にも変化は見られませんでした。英語では中3の単語、国語では中3の漢字が出題から外されましたが、英語は注釈付き、国語もルビ付きで問題に用いられ、意図してレベルが下がるのを防いでいます。

一方で、出題傾向で特筆すべきは社会の歴史分野で旧石器時代から平安時代までの配点が多かったことです。これは公民で国際社会の範囲が削除されたことによる影響と考えられます。

 

合格基準を目指す入試対策

学指会では入試直前にかけて本試験と同様の形式の実践テストで、土曜特訓では模擬テストで時間配分や解答手順を身体に馴染ませます。現に、この1か月で解答スピードはどの教科でも飛躍的に上がりました。ただ、前述のような一部の変更点が出る可能性は常に存在します。しかし、100点を目指すテストではないため、対策として最も堅実な手法だといえます。過去問題をやり込んだ受検者ほど「異質」なものに敏感となり、思惑と異なったことに焦燥感を滲ませるでしょう。しかし、同じ心境の受検者もまた多かったと考えるのが自然であり、致命傷を避ける効率的な受検勉強の宿命とも呼べる弊害だったと受け止めるべきです。つまり、「習うより慣れろ」の傾向は色濃く残っているということです。

 

傾向を捉えて準備を始める

首都圏における公立高校の入試問題として、神奈川県の難易度は高い方ではないと言われています。ところが、意外なデータがあります。今回、国語の問題に使われた文字数は18,000字を超えます。例年、東京都で約12,000字、千葉県では約9,000字であることから、神奈川県の受検者には速読が必須であることがわかります。そして、この傾向である以上、短時間での要不要の情報処理が一層重要となっています。これはネット社会に氾濫する情報を的確に処理できることが時代に求められているためです。

さらに、条件作文問題で扱われた「モーダルシフト(貨物輸送の転換)」、説明文の「インターネット社会」といったカタカナ語や、社会における「人権」、理科における「遺伝」など現代社会で関心が高まる分野の知識がみるみる幅をきかせてきました。

次年度に受検を控えたみなさん、入試の際はこれらを日常から踏まえておくことで、理解に費やす時間を節約できます。なかんずく、SDGs関連は注目分野でしょう。

Y.K

(学指会通信190号より)