塾講師として働いていてよかったこと

秦野市民としての生活は、そのまま塾生活と重なっています。教室に通う生徒とスーパーで顔を合わせることも、道端で「先生」と声をかけられることも珍しくありません。この街で生まれ育ったわけではありませんが、1995年に住み始めてから今日まで、この街で暮らし、この街で働き続けてきました。だからこそ、地域の空気や移り変わりを肌で感じながら指導ができていると思っています。

家庭を振り返ると、現在28歳の長女と25歳の長男を育ててきました。二人ともすでに巣立ち、それぞれ一人暮らしをしています。塾講師という仕事柄、帰宅はどうしても遅くなります。だからこそ、おむつ替えやミルクは夜担当として自分が引き受け、夏休みの午前中は市民プールに連れて行くのが恒例でした。そうしたかたちで、できる範囲の子育てには関わってきたつもりです。夜遅くまで働き、朝から子どもと向き合う。決して要領のいい暮らし方ではありませんでしたが、そのぶん子どもの成長を近くで見届けることができましたし、保護者としての実感を持ったまま生徒や保護者の皆さんと向き合えているのは、この暮らし方のおかげだと感じています。

子どもの勉強を実際に見る機会もあり、そこで強く感じたのは、知識の量そのものよりも「好奇心を持つこと」「実際に体験してみること」の大切さでした。この実感は、いま学指会で生徒たちに伝えていることと、まっすぐにつながっています。頭ごなしに教え込むのではなく、興味の芽をどう育てるか。親としての試行錯誤が、講師としての指導観をかたちづくってきた部分は大きいと感じています。

学指会は1981年の開校で、秦野・平塚に根を張って50年近くになります。その歴史のなかで、かつて自分が教えていた「教え子」が親になり、その子どもがまた学指会の教室に通ってくるという場面に出会うことも増えてきました。親子二代で同じ教室に通っていただけるというのは、地域密着でずっとやってきたこの塾でなければ味わえない喜びだと思います。

こうして振り返ると、塾講師として得てきたものは、生徒数や合格実績といった数字だけでは測れません。地域に根ざし、自分自身も家庭を持ち、そしてかつての教え子の家族ともつながっていく。経済的な「幸せ」とは違う、心地よい人の輪の広がりを、この31年で確かに感じています。この地域で子育てをし、この地域で塾を続けてきた一人として、これからも学指会らしいかたちで、生徒と保護者の皆さんに向き合っていきたいと思います。

学指会通信252号より

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